冬季間、特に大変なのが通所リハビリの運営。
雪深いエリアの老健に苦労と対策を聞きました。
大雪で利用者宅まで送迎車が行けなさそうなときは、
小型車に切り替えてお迎えにあがっています
(倶知安・麓華苑、富良野市・ふらの)
富良野のなかでも特に雪深い一部のエリアに
お住まいの利用者さんたちは、通うのも危険だし体力も
必要以上に使ってひと苦労。そのため冬季間だけ
通所リハビリから訪問リハビリに切り替えていただき、
こちらから出向くようにしています(富良野市・ふらの)
ケアマネジャーから利用者さんに対し、除雪サービス利用の
提案をしています。通り道がつくれても足元が危険なので、
砂を入れたペットボトルを持参しまくようにしています
(八雲町・コミュニティホーム八雲)
あまりに暴風雪がひどいときは
通所リハビリそのものを早めに終了するほか、
休止の選択をするという老健も多数。
冬季間の老健運営はゆるくないのです…。
ゆう(南幌町)では、冬季間に全職員に対して交通安全研修を行っています。「シルバー人材によるドライバーも多いため、リスク管理の意味合いを込めて研修を行っています。コロナ前は警察署に講師をお願いしていましたが、2023年からは職員が講師を務めています。当法人の名前が入った車を運転するということは、地域に対して看板を背負っているのと同じ。慣れた道だからと気のゆるみが出てはならないため、今一度交通ルールの徹底や雪道での安全な運転技術を学んでいます」(介護老人保健施設ゆう・本部長 三浦航平さん)
みやびの森(旭川市)では、2019年に認知症専門棟の入居者を対象に、本物の雪を使った雪だるまづくりを実施しました。「外出機会の少ない認知症棟の利用者さんたちですが、『雪遊びをしたいね』と話が盛り上がり、たらいいっぱい雪を運んでくることに。雪に触れているうちに各々雪だるまを作り始めた利用者さん。認知症の影響で四季を感じにくくなっていた方も、実際に冷たい雪を触って刺激になったようで、楽しそうにしていました。インフルエンザが落ち着き次第、再開したいですね」(介護老人保健施設みやびの森・介護職員 荻生隼人さん)
札幌市内でも西区の奥の積雪が多いエリアにたたずむ平和の杜(札幌市)。こちらでは2022年から毎年1月、同法人のマスコットであるエゾシカの「杜りん」を象った雪像製作に励んでいます。
「来所する方に楽しんでもらえるよう、総務課の職員が担当し、雪像を作っています。今年も作る予定です」(介護老人保健施設平和の杜・相談員 山本香奈子さん)
アートライフ恵庭(恵庭市)では、環境美化整備委員会で毎年中庭を舞台にイルミネーションやキャンドルナイトイベントを開催しています。2022年の冬は、約3500玉の電飾をまとったツリーが登場。翌年2月には、45個のアイスキャンドルを製作し、幻想的な雰囲気を演出しました。
「キャンドルナイトは雪と氷があってこそキレイに見えますね」(アートライフ恵庭・事務長 齊藤英樹さん)
各ユニットのキッチンで、介護職員と利用者が一緒に鍋を作って味わう行事が恒例となっているのは、もみじの里(鹿追町)です。
「2004年の開設以来、伝統行事になっています。これまでに、寄せ鍋や石狩鍋、豆乳鍋のほかミルフィーユ鍋やカレー鍋などちょっと変わり種も提供したことがあります。普段、食が細い利用者さんも食欲旺盛に味わっています。利用者さんから、具体の切り方や味付けのポイントなどをアドバイスいただくことも多く、特に女性の利用者さんは昔の話をしながら楽しそうに調理していますね。今年の冬は秋田県出身の利用者さん監修できりたんぽ鍋を作る予定です」(社会福祉法人鹿追恵愛会 介護老人保健施設もみじの里・副施設長 西尾美希さん)
もみじの里プレゼンツ・おすすめ鍋レシピ・
白菜とろろミルフィーユ鍋(4人分)のご紹介です。
※利用者の好みによって鶏ひき肉へ変更や長いもなしの鍋など、アレンジします
老健ほっかいどう vol.15/4〜5P
令和5年1月発行