第32回 北海道老人保健施設大会

第32回北海道老人保健施設大会は、多くの方にご参加いただき盛況のうちに終了いたしました。 こちらでは、当日の様子を写真で振り返るフォトギャラリーと、時間内にお答えしきれなかったご質問への回答を一部ご紹介しております。当日の雰囲気と学びの内容に触れていただければ幸いです。

フォトギャラリー

大会当日の会場の雰囲気を、写真とともに少しご紹介します。 登壇者の表情や会場の空気感から、当日の熱量や学びの時間を感じていただければ幸いです。

シンポジウムパネリスト・質疑応答のご紹介

大会当日に寄せられたご質問のうち、時間の都合でお答えできなかった内容については、こちらのページで回答を公開しております。今後の参考にしていただければ幸いです。

1. ゴック先生の質疑応答

A1.

日本語について、JLPT(日本語能力試験)でN1取得を目指すのが最初の目標でした。日常会話は学生時代から日本人と関わることで自然と習得することが多く、現在もそれは継続しています。

介護用語は、学生時代に勉強した後、就職後も専門用語等聞き慣れない言葉があった時は、メモをしたりして振り返りを毎日行っていました。発表でもあった通り、新人外国人指導に向けたマニュアルを作成した際に、自分が苦労した語句や表現を思い出しアウトプットしてあげることで、自分の言語化に役立っていると感じています。

話しやすい工夫として、色々と試行錯誤しながら現在進行系で奮闘していますが、今あと一歩のところと強く感じているのは「てにをは」と言われるような助詞の使い方です。 一つ使い間違えると意味が全く違ったものになるのですが、時々間違えて上司に指摘されて気がつくことが多いです。

A2.

発表でもお話した通り、日本人は「揺らぎの表現」の使い方が上手でその心情を読み解くことが最初は苦労していました。今は言葉の裏側にある真意を汲み取るように心がけ対応する事で関係構築が円滑になったと感じています。逆に私達は物事をハッキリという文化が強いため、そのあたりについて摩擦が生じてしまわないよう注意したり、上司からそういった文化の違いに啓蒙してもらう事で働きやすい環境になっています。

多文化の対応については、あまりこだわりすぎないようにしています。日本やベトナムなどそれぞれの国民の中でも価値観や思考が異なっているのは当たり前のことなので、多文化という大きな枠組みではなく、個々人の個性という視点で考えるようにしています。

A3.

私は「在留資格介護」という就業ビザなので特定技能とは少し異なりますが、日本語学校現地(6ヶ月)→札幌市内日本語学校(6ヶ月)→介護専門学校(2年)→介護福祉士試験合格というルートになっています。 今後のキャリアは正直今悩んでいます。日本でこのまま働き続けキャリアアップをし、いつか起業してみたい気持ちが強くあります。一方、今自分にできる事も一つずつクリアしていくために、現在通信制の大学に通っており来年3月に卒業予定となっています。先ずは「高度人材ビザ」を目指していくのが近々の目標です。

働く地域について、周りでは都会思考型の話をよく聞きますが、私は自分が活かせる場を一番に考えているので、都会だから地方だからというこだわりはあまり持っていません。都会に転職するケースの殆どは地方との賃金格差とSNSでも散見しています。しかし、都市部は生活コストも高いため、利便性や同郷が多いといったメリット以外の賃金メリットは実質的には高くないのでは?と私個人は思っています。

A4.

技能実習や特定技能の方々が日本に来て働く一番の目的はお金を稼ぐことだと感じています。 働く人の中には、自分は質素な生活をしてでも家族への仕送りを優先している話も見聞きします。

そういった方々にとって、自分の事業所で長く働き続ける事は将来性が高いのか(具体的には十分な賃金をもらい続けることが出来るのか)を日々測っており、SNSで条件の良さそうな求人があればそちらに移ってしまうかもしれません。 もちろん、外国人と日本人が同等の処遇をしてもらうことや人間関係含めた働きやすい職場環境は前提条件になりますが、以前上司が言っていた言葉に「日本人は住んでいる地域や北海道内が転職エリアに考えるが、外国人就労者は日本全国が転職エリアだから」というのがあります。私もその通りだと思います。全国無数にある求人票と比較し私達が働く事業所が魅力ある事業所になることが最も重要なのかもしれません。

A5.

私が入職した2001年はベトナム語を話す職員はいませんでしたが、その数年前から外国人受入チームを作り、その準備をしていてくれたと聞きました。そのおかげもあり言語の壁を大きく感じることはありませんでした。教育指導についても、当事業所でははっきりとした人事考課制度とその目標設定、階級別クリニカルラダーなどが整備されているため、自分の現在の立ち位置の確認やモチベーションにも役立っています。

現在は私が指導者側として、同じような不安や悩みを抱えた外国人職員に支援していくため、より良い整備を進めていっています。

A6.

利用者さんは本当に優しい方ばかりで、やり取りに困った時や文化の差があった時も「大丈夫だよ」とか「日本語で偉いねぁ」とか励まされてばかりです。時々強い口調で話す方もいますが、そういった方にもゆっくり丁寧に話すことで、利用者本人・ご家族含め大きな困りごとになったことは有りません。

また、利用者と関わる際に言葉だけの言語コミュニケーションに限定したものではなく、非言語コミュニケーションを使う場面も多く、実際のケアの中で、日本語で話さなくてもその人の要望や意図を観察し理解ができて、ケアをしていました。日本語はもちろん言語というのはただの一つの手段として相互理解だと思います。

A7.

グリーンコート三愛では、現在在留資格介護2名 特定技能6名が就業しています。体制として、私が教育研修委員長で指導体制の整備を行っています。内容はスライドのように行なっています。

A8.

介護士として働く中で、人を深く理解する力が身についたことが大きいです。利用者さんの本音や気持ちは、言葉だけでなく、表情や行動、沈黙の中にも表れています。そうした心の動きを感じ取りながら関わることで、人間理解がより深まりました。また各部署から、「人を動かす」ことではなく、「人と動く」ことの大切さに気づきました。思い通りにならない経験を通して、人との関わり方やコミュニケーション力が鍛えられ、自分の将来にもつながる学びになったと感じています。

その中で一番苦労したのは、文化や考え方の違いを受け入れることでした。特に入職当初は、「なぜこうしなければならないのか」という疑問から摩擦が生じたり、指導者への不信感を持ったりしたこともありました。身体的にも疲れが溜まりやすく、体調やメンタルの自己管理にも苦労しました。ですが、そうした経験を通して、違いを受け入れる柔軟さや、どんな状況でも成長できる力を身につけることができました。

2. 介護老人保健施設あつべつ 越後先生の質疑応答

A1.

機器の選定:施設管理者と総務課、各専門職の係長が稼働率、加算算定など、収益と業務効率アップについてアクションプランを活用した事業運営会議を毎月行っています。その中で、現場の状況に即した機器を提案し合い、総務課が窓口となり業者を通して多職種でデモ機を選定します。

導入・定着:導入前に機器を使用する目的と期待する効果を周知し、デモ期間に合わせて運用計画(活用方法・評価項目)を多職種で共有します。デモで効果を検証できた場合、購入を検討します。

予算・補助金:介護ロボット導入支援事業費補助金を活用し、年度計画で予算立てを行い、総務課と母体法人に相談しながら進めています。

A2.

意識変容・周知:多職種で機器の操作や使用目的等の勉強会を実施します。そのうえで、計画的に導入をすすめ、実際にメリットを多職種で体感してもらうことだと思います。「早さよりも安楽」を重視することは「介助する側もされる側もお互いに無理がなく精神的にも身体的にもゆとりが生まれる」という効果をそれぞれがポジティブにとらえられるような支援体制が今後も重要だと感じています。

研修・多職種間の合意形成:現任訓練として、先に習得している職種が実際のケア場面で指導を行い、2名で無理なく技術習得できる体制としました。職種の専門性を生かして指導をお願いしたことで、多職種の専門性や個性を知る機会につながり、多職種協働の意識が高まる効果があったと思います。

使われなくなる問題:機器の導入後、次第に目的が不明確になり適正に使用されないことがあります。そこには職員それぞれの原因(年齢、経験値、職場環境、個性)があるため、課題が何かをくみ取り、活用継続に向けての方法を速やかに多職種で検討することが重要と考えています。

A3.

【台数・設置場所】
現在1台をレンタルで使用しています。設置場所はとろみ飲料の提供が必要な入所者が多い認知症専門棟フロアです。言語聴覚士がとろみ粘度を設定し、入所者の嚥下状態を多職種で評価し、粘度調整が適切にできるように協働しています。粘度調整は機械の設定で調整可能です。

【使用頻度・対応飲料】
毎食、軽・中・強の3種類のとろみほうじ茶をサーバーで作り提供しています。 設定としては、味はスポーツドリンク、緑茶、冷たいとろみも可能です。 清掃・メンテナンス:月1回業者が対応しています。管理栄養士が窓口となり業者とのやり取りを行い、フロアでのとろみの必要量の調整や業者からの情報の周知等も行っています。

【導入の効果】
導入前は20~25名分のとろみ茶を手作業で準備していました。とろみサーバーでは約2分でとろみ茶ができ、時間短縮とともに均一で安定したものを提供することができています。また香りやのど越しも良く、安全面に配慮しながら美味しい飲料を提供できるようになりました。

【費用負担・請求方法】
自施設では1日のとろみ茶の業務時間(人件費)とサーバーレンタル料(とろみ粉代・茶代)を比較し、サーバーを導入した方が経費的・業務効率的にメリットがあると判断しました。 費用等の詳細につきましては、メーカーによって違いますので、ご確認ください。

A4.

導入台数:現在1台をレンタルで使用しています。

【対象基準】
要介護度4~5の方で、認知症自立度が重度。言語理解が難しく協力動作が困難で抱え上げ介助が必要な方を多職種で選定しています。

【使用時間・所要時間・ノーリフトの定着】
食事やおやつ提供前後に運用しています。リフト操作を2名体制から始め、現在1名での活用を進めている最中で、これから活用回数を広げていく予定です。以前はリフト操作に7分ほどかかっていましたが、現在は4分ほどになっています。

【ノーリフトケアの効果】
今年度からの導入により、腰痛や離職者への影響はまだはっきりとはしていませんが、職員から「体が楽になった」などの声も多くあり、働きやすさにつながっていると考えています。

A5.

移乗動作が困難な入所者に対して、ベッド⇔シャワートロリーにスライディングボードを使用して臥位のまま移乗し、あとはトロリー上で脱衣・洗身・洗髪・湯舟にも浸かれ、湯を抜いた後にそこで着衣・整容まで、全て行えるため入所者・職員双方の負担軽減につながっています。

A6.

移乗サポートロボットで、ベッドから車椅子、車椅子からお手洗いといった座位間の移乗動作、脱衣場やお手洗いの立位保持が安楽にできる機器を検討しています。施設全体で「抱え上げない介護」を標準化し、より質の高い安全・安心なケアの提供を目指していきたいと考えています。

A7.

グリーンコート三愛では、現在在留資格介護2名 特定技能6名が就業しています。体制として、私が教育研修委員長で指導体制の整備を行っています。内容はスライドのように行なっています。

A8.

介護士として働く中で、人を深く理解する力が身についたことが大きいです。利用者さんの本音や気持ちは、言葉だけでなく、表情や行動、沈黙の中にも表れています。そうした心の動きを感じ取りながら関わることで、人間理解がより深まりました。また各部署から、「人を動かす」ことではなく、「人と動く」ことの大切さに気づきました。思い通りにならない経験を通して、人との関わり方やコミュニケーション力が鍛えられ、自分の将来にもつながる学びになったと感じています。

その中で一番苦労したのは、文化や考え方の違いを受け入れることでした。特に入職当初は、「なぜこうしなければならないのか」という疑問から摩擦が生じたり、指導者への不信感を持ったりしたこともありました。身体的にも疲れが溜まりやすく、体調やメンタルの自己管理にも苦労しました。ですが、そうした経験を通して、違いを受け入れる柔軟さや、どんな状況でも成長できる力を身につけることができました。

3. 瀬尾先生の質疑応答

A1.

今回のケースだと育児休暇のスケジュール把握を上司が行い、各所属部門で利用者割り振り、利用者業務は「代行」という形で行った。利用者状況に関しては各部門長に説明し、緊急対応以外は上司の判断とし、新規(瀬尾がと行っていた訪問リハ)受け入れは一時的に休止した。

複数名の育休同時取得に関してはリハ課内では前例がないが、人員不足がある以上、応援職員として法人内より依頼し、上記同様の方法で行うことが考えられる。

A2.

当部署では30~50代までの職員が所属しており、子育てに対する理解は得られている状況。昭和世代の職員は、「男性育休なんて…。」という考えの職員もいますが、当施設の職員は、意識が最近の状態にアップデートされているので、理解を得ている。

A3.

当託児所は平成23年に開所し、直営ではなく委託にて運営しています。

受け入れ範囲は最大25名までで、保育士の確保は委託会社に任せています。

A4.

給与は減給になりますが、賞与は満額支給になります。

なお、定額昇給や退職金についても通常の勤務をしているものとみなす事となっています。

A5.

【月額利用】
➀乳児17,500円 ➁1~2歳15,000円 ➂3歳以上14,000円

【臨時利用 】
1日あたり➀1,591円 ➁1,364円 ➂1,273円
※5日間までで6日間から月額利用になります

A6.

上司の方から必要であれば遠慮なく取得するようにと言っていただいた。

また普段から在宅部門、入所部門関係なくお互いが業務を取り組みやすくするために、利用者業務や書類業務を優先的に行えるよう、声掛けを行い、代行として全員がいつでも支援できる体制を心掛けている。


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