社会医療法人恵和会 介護老人保健施設 アメニティ西岡
札幌市の老健施設にお邪魔しました!在宅復帰・在宅支援、レクリエーション、ケア全般、多職種協働など、各老健が重点的に力を入れている取り組みを紹介していきます。
TEL/011-854-5510
【入所定員】100名
【通所定員】35名
【種別】在宅強化型/併設型
アメニティ西岡では、昨今、チームによる認知症ケア、そして看取り支援に力を入れています。認知症のチームアプローチ対象となるのは主に新規の利用者です。環境変化に加え、向精神薬の服用によってADLの低下や嚥下障害、せん妄や攻撃的な言動が見られるケースが多いためです。
2024年度は介護報酬改定で新設された認知症チームケア推進加算のなかで指定された評価指標「BPSD25Q」の活用をスタート。まだ加算算定にはいたっていませんが、成果が現われはじめています。看介護師長の池元好江さんは、「客観的データで変化を確認して数値化できるため、多職種で計画的なケアに取り組めているほか、向精神薬の処方も減っています」と話します。
評価を経て実践する際は、「全職員が同じ視点でケアに臨むことを大事にしています」と看護主任の五井厚子さん。利用者と集中的に関わるリハビリ場面でも、評価をふまえつつ生活歴や趣味を考慮した活動を考案し、セラピストの視点からADLや精神面の変化を見逃さないようにしています。
ある事例では、帰宅願望や攻撃的な言動が見られた利用者に対し、適切な評価のもとチームで関わり、屋外歩行なども通じて心身の改善を導きました。リハビリテーション科副主任の坂本美緒さんは、「どこかでケア側の思い込みもあったと反省すると同時にご本人を信じることの大切さも知りました」と振り返ります。
また、入所相談の段階からすでにケアははじまっています。「特に精神科からの相談や在宅生活が難しくなった認知症状のある方のケースでは、出来る限りの情報を集めて共有しています」と支援相談科科長の渡辺ひとみさんは話します。
この取り組みは、新人教育にも変化をもたらしています。介護副主任の五十嵐亮さんは、症知認ケアは先輩に前へ倣えの状態でしたが、多職種による関わりや評価指標の活用で指導が明確になりました」と言います。「ケアの負担も可視化でき、職員の労力軽減につながっています。成果を実感した職員が次に伝える好循環も生まれています」と事務長の吉田拓司さんも話します。
そして同様に注力する看取り支援についても、今年度から可視化の一環として新たなツールを導入。その名も「心づもりシート」と名付けたものでご家族に伝えておきたいこと」や「最後を迎えたい場所」といった5つの質問をたずねる聴き取りシートです。これにより、利用者それぞれの願いの実現や利用者家族の満足感の醸成、適切な看取りケアのさらなる推進が期待されます。
「住み慣れた環境で後悔のない看取りが支援できるよう取り組みたいですね」(池元さん)
●なら
看取りのステージ以外の方にも、ACP※1やALP※2に 取り組まれていますか?
●アメニティ西岡
「心づもりシート」の取り組みは、ACPの第一歩だと考え、余命等に関わらず入所者全員を対象に取り組んでいます。また、ターミナル期に限らず、必要な時期に「終末期医療の意思確認書」も確認するのですが、このように施設医から家族等への説明場面で「心づもりシート」を用いて本人の願いや思いを共有することが出来るようになり、より良い支援に繋がっていると感じています。
※1 ACP(Advance Care Planning):将来の医療およびケアについて、本人を主体に家族や近しい人、医療・ケアチームが話し合い、本人による意思決定を支援する取り組み
※2 ALP(Advance Life Planning):「自分は何を大切にしているのか」「どのような人生を歩みたいか」について考えること
老健ほっかいどう vol.17/6P
令和7年1月発行